つばさでは、0歳児から2歳児までの3年間、食事、排泄、衣服の着脱の場面で担当制をとり、一人一人に合わせた援助をします。これは、乳児期の発達の個人差に対応するためと個々が持つ生活リズムの違いに対応するためです。
一人の保育士が3~4人の子どもを担当し、この担当は3~4か月固定されます。
一斉に食べさせる、にぎやかな保育園の食事風景を見慣れている方にとっては、つばさの食事風景は驚きの光景です。静かに穏やかに乳児の食事が進んでいくのですから。「他の子が食べていることに気づき、泣いたりぐずったりしませんか」という質問を受けますが、子どもは自分の順番をよく理解しており、機嫌よく遊んで待っています。
3~4か月、同じ保育士が同じ手順で介助することにより、
一人一人にあった過不足のない介助ができます。
これにより、子どもは次に何をすればいいのかがわかり、
自発的に動くようにもなります。0歳児の赤ちゃんでさえ、
靴下を履く際、右足からということがわかり、右足を出すのです。
食事、排泄、衣服の着脱は日々の生活の中で必ずある場面で、
この場面で担当制をとることにより、担当保育士との
愛着関係も築かれていきます。
しかし、遊び、睡眠の場面では担当を決めず、
全保育士が全員に関わりますので、
担当以外の保育士に慣れにくいのではないかという心配は不要です。
保育士との愛着関係を築いた子どもは、2歳後半ころから友だちとの関わりを求めるようになります。しかし、まだ大人がイメージするような「仲よく遊ぶ」姿には程遠いものです。自分の気持ちが最優先の時期ですから、おもちゃを譲るとか一緒に使うのは難しく、けんかになることもしばしばあります。そのような時、保育士が中に入り、お互いの気持ちを代弁し、自分がどういえばよかったのかを学びます。
そして3歳児になると、つばさでは1クラスになります。3,4,5歳一緒のクラスです。でも、ずっと一緒ではありません。朝「おはよう」とクラスに入り、思い思いの遊びや昨日の続きを好きな友だちとし、9時になると朝の会。それが終わると、年齢ごとの活動の時間です。そして、昼食、午睡。起きるとおやつ。おやつの後は、また思い思いに遊びます。
同じ年齢の友だちと遊ぶ傾向はどうしても強くなりますが、年齢のちがう、特に自分より大きい友だちの影響は相当に受けています。大きい友だちがしているのを見て学び、同じようにしてみる(それも、いないところで!)、同じことをしてみたいと保育士に相談する姿もあります。大きい友だちに勇気を出して、やり方を教えてほしいと頼んでみたり。大きい子は優しく粘り強く教えています。年齢のちがう子どもたちが同じ環境で過ごしているからこその姿です。
世間にはありとあらゆるおもちゃがあふれかえっています。カラフルなもの、音や光が出るもの、流行しているアニメキャラクターグッズ、知育おもちゃ、外国の木製のおもちゃ…。いったい、何がいいのでしょう。そもそも、おもちゃは何のためにあるのでしょう。
わたしたちは、おもちゃを選ぶ際に最も大切なのは、子どもの発達に見合ったものかどうかだと考えています。大人から見て色がきれいであるとか、文字や数を覚えるのによさそうだということではありません。
おもちゃは子どもが出会う、初めての「モノ」であり、文化財です。私たちは、モノと人との関わりの中で何を育てたいのかを考えます。大切に扱うこと、自分が働きかけるとモノが変化することを学ぶこと、モノを介して他者と協調すること、そこから生まれる楽しい気持ちを感じることなど、おもちゃを通して子どもが学ぶことはさまざまあります。だからこそ、子どもの発達にあったおもちゃを選びたいのです。
では、具体的に「発達にあう」とはどのようなことなのでしょうか。視力の発達を例にとってみましょう。人間は生まれたばかりの頃は、視力はほとんどないと言われます。それが少しずつ見えるようになります。また、識別できる色も0歳児の初期のころは限られています。大人から見てきれいなパステルカラーは赤ちゃんからすると、きれいではないようです。赤ちゃんにとっては、黒、赤、黄色といったはっきりした色がよく識別できるようです。次に運動機能としての指の発達を考えてみると、乳児期初期は握っていることが多いですが、次第に指が開き、次いでモノを五本の指でつかみ、次いで三本の指でつまむことができるようになります。このような子どもの発達を確認しながら、布製の手作りおもちゃ、木製のおもちゃ、牛乳パックやペットボトルを再利用したおもちゃなど、さまざまなおもちゃを用意し、年に数回、おもちゃを入れ替えています。
そして1歳児クラスでは、運動機能、知的機能の発達とともに生活の再現を子どもがするようになります。「いってきまーす」とバッグを持ってでかけたり、人形をおんぶしてあやす動作をしたり、ねかしつけたりという遊びも始まります。また、食べ物の絵本を見て「あーん」と食べる真似をしたりすることも始まります。自分一人だけでなく、友だちと一緒にすることも楽しくなる時期です。年齢がさらにあがると、生活の再現はより高度になってきます。遊びは、子どもの生活を映す鏡でもあります。ままごとや病院ごっこ、美容院ごっこ、保育園ごっこ、レストランごっこ、幼児期になると映画館ごっこ、コンサートごっこなどを展開することもあります。
また幼児期は、小グループで遊ぶ楽しさもわかるころでもあります。記憶力や次の一手を読むボードゲームやカードゲームを楽しむようになります。ゲームを通してルールを学んだり、勝った嬉しさや負けた悔しさを感じ、どうすれば負けないか知恵を巡らせることもあります。
このように、おもちゃや「遊び」は、暇つぶしでもなく、ストレス解消でもなく、子どもにとっては成長する上で欠かせないパートナーのような存在なのです。
大人にとって教育とは、教室で机に向かって座り、行われるもの、先生が知識を与えて子どもはそれをおぼえるものという、イメージが強いかもしれません。いわば、知識教授型の一方通行です。しかし、現代の教育はこればかりではありません。新しい知識を獲得することは教育の大きなねらいの一つであることは間違いありませんが、教育方法は変化してきています。教育の受け手である子どもは学習の主体者として、受け身ではなく、能動的に学ぶことが求められています。そのため、従来型の教育方法ではなく、子どもが主体的に能動的に学ぶことができる方法が少しずつ広がっています。たとえば、グループ討議、調査学習などはかなり浸透しているのではないでしょうか。
幼児教育にこれをあてはめてみると、どうなるでしょう。幼児教育は小学校の前倒しでもなく、小学校入学のための予備校でもありません。保育所が依拠すべき「保育所保育指針」でも、「数や文字に親しむ」とありますが、それを覚えるとはどこにも書いてありません。乳幼児期は新しいことを覚える際、それまでの経験を足掛かりとして覚えることがスムーズにいくことが多いです。考えてみれば、大人も同じはずです。子どもは大人より生活体験は当然、少ないですから、大人が子どもの生活体験の内容、量を把握し、活動を考えることが必要になってきます。
実際には、「季節の変化を知り、生活に生かす」ことを5歳児では行っています。毎日の気温を測り、半そでや長そでを着ている人数を調べ、どのくらいになると半そでが増えるのか、どのくらいになるとトマトが採れるのか、どのくらいになると外で遊ぶときにジャンバーが必要なのかなどを実感するのです。毎日、当番の子どもが記録します。この活動の中には、小学校の教科でいえば、半そでの人数を数えてみるのは算数、旬の野菜について知るのは家庭科、野菜の絵を描くのは図工、観察記録に感想を書くのは国語といったような内容が含まれています。しかし、私たちは小学校の前倒しをしているつもりはありません。そうではなく、幼児期の子どもがどのようなことに興味を持ち、意欲を持って取り組めるのか、生活に密着した各年齢にあわせた活動のあり方を考えた結果、そうなったのです。小学校の教科の単元には「ねらい」があります。それは、たとえば、九九を覚えるといった到達目標ですが、幼児期の教育の目標は到達目標ではなく、めざす方向性と言ったことが目標になります。ですから、子どもがより興味や関心を持つにはどうしたらいいか、興味、関心を持ったらどう展開すれば、子どもの心が動くのかを考えたいと思います。
食べることは誰にとっても必要なことで、生活の中の楽しみの一つです。また、食は文化を伝える場面でもあります。私たちは、食育の重要性が叫ばれる以前から、食べることを大切にしてきました。
給食
- 全園児完全給食です。
- 主食のコメは新潟産のコシヒカリまたはコシイブキ(有機農法)を使用しています。
- ほかの食材はすべて国産です。
- つばさのごはんは、和食が基本です。ごはん、味噌汁、魚、野菜のおかず(煮物、和え物など)が基本の献立です。乾物も多く取り入れています。おやつは手作りです。子どもは体の大きさの割に必要とされる熱量は大きいので、おやつは補食と考え、穀類中心の内容です。
- 食物アレルギーを持つお子さんの場合、医師による指示書のもと、必要な対応を行いますので、お申し出ください。
夕食、軽食が必要な場合
- お迎えが18時30分を過ぎる場合、軽食を利用できます。当日、17時までにお申し込みください。軽食はおにぎりです。料金は1回100円です。お支払いは翌月末、延長保育料と併せてお支払いいただきます。
- お迎えが19時を過ぎる場合、夕食を利用できます。利用予定の前の週の水曜日までにお申し込みください。料金は1回350円です。お支払いは翌月末、延長保育料と併せてお支払いいただきます。
- 軽食、夕食とも1歳児以上のお子さんが利用できます。
食育活動
- 食育とは「食を通して生きる力を育てること」であることを考えると、食育は0歳から始まります。乳汁を飲むこと、乳汁以外の味に慣れること、スプーンから口に取り込み、ごくんと飲み込むこと。これらは赤ちゃんにとって食べる行為の前段階として必要な行為です。離乳食はペースト状のおかゆから始まり、野菜のペーストが加わります。そして、状況に合わせて離乳食の形態が変わっていき、それにつれ、ミルクの量も減っていきます。さらに、自分でスプーンを持って食べるようになり、よく噛んで食べることを覚えます。年齢が上がると、友だちと一緒に食べる楽しさを感じると同時にマナーも覚えていきます。このように、食育の基本は毎日の食事にあるのです。
- 年間活動としてクッキング、夏野菜の栽培、おやつ作り、野菜の下ごしらえ等(保育の中で行います)があります。
- 地域の親子向けに、離乳食教室も開催しています。